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健康診断について

2017.11.02(木)

▽健康診断の必要性

私たち人間の場合は、就労環境や生活している自治体によっても多少の違いはあるかもしれませんが、大抵の人は少なくとも年に1回程度は「健康診断」を受けるのが普通なのではないでしょうか?通常の健康診断の他にも、胃がん検診や乳がんの検診など、様々な「検診」を受けることで早期に病気を発見することができるので、早期の治療が可能となります。
犬や猫など、動物の場合も人間と同様に健康診断をする必要があります。特に動物の場合は人間のように「言葉で症状を訴える」ことができないため、病気の発見が遅れがちになります。また少々具合が悪くても、元気に振舞って症状を隠してしまう動物もいます。したがって、「おかしい」と気が付いたときには、病気はかなり進行していることも稀ではありません。
最近は犬や猫たちも非常に長寿になり、また食餌などの生活環境などの影響もあって、糖尿病などの所謂「成人病」や、癌などの老齢疾患の発生が増えています。これらの病気は、早期に診断して治療を開始することで、治癒あるいは進行を止めることができる場合も少なくありません。健康診断を受けることで、このような病気を早期に発見することができる場合があります。

 

▽健康診断の検査内容

1.身体検査

聴診器で心臓や肺の音を聞いたり、体のあちこちを触って異常がないか確認したり、熱や脈拍を測ったりします。通常は、診察の際に毎回身体検査を行うのが普通です。

 

2.血液検査

身体検査だけでは判らない異常を見つけることができます。血液検査の数値には動物種によって「正常値」がありますが、実際には結構個体差があります。ですから、「健康なときに血液検査を受ける」ことで、個体ごとの「正常値」を知ることができます。具合が悪くなって初めて受ける、というのではなく、健康なときに一度検査を受けておくことをお勧めします。

 

3.糞便検査・尿検査

糞便検査では、便の中に寄生虫の卵などのが出ていないか、下痢や嘔吐を起こすような異常な細菌や原虫などがいないか、確認します。尿検査では、膀胱炎や結晶の有無、異常な細胞や病原体が出ていないか、pHの異常や蛋白、潜血などの有無を調べます。

 

4.レントゲン検査

必要性がないのに闇雲にレントゲンを撮ることはあまりありませんが、心臓や呼吸器系などの異常が疑われる場合には「胸部レントゲン」、肝臓や消化器、泌尿生殖器など腹部臓器の異常が疑われる場合には「腹部レントゲン」を撮影します。また(特に犬の場合)品種により股関節などに異常が発生するリスクの高いものでは、股関節のレントゲンを撮る場合もあります。

 

5.超音波検査

聴診などで心臓の異常が疑われる場合には心臓の超音波検査を行います。またレントゲンと同様に腹部臓器の異常が疑われる場合には腹部の超音波検査を行います。当院では「カラードップラー検査」による心臓の詳細な検査をすることができます。

 

▽健康診断で「わかること」と「わからないこと」

「健康診断」を受けることで、色々な異常を発見することができます。しかし残念ながら、上記の検査をすることですべての病気を確実に早期発見できる、という訳ではありません。身体検査では外見上(あるいは聴診・触診上)で異常が見られる疾患を見つけることは出来ますが、外見上無症状の病気を見つけることは出来ません。血液検査では、「血液検査数値に異常が生じる」病気を発見することができます。例えば糖尿病、腎不全、肝障害、貧血や白血球の増加・減少などです。副腎皮質の病気や甲状腺の病気など、内分泌系の病気も、直接確定診断をつけることは出来なくても、ある程度「あたりをつける」ことは可能です。しかし、例えば体表に見えない癌などの腫瘍性疾患を小さいうちに発見することは困難です。動物では、人間の検査では一般的となっている「腫瘍マーカー」が、まだ見つかっていません。したがって、血液を採ることで腫瘍の有無を見つけることは出来ないのです。
しかしだからと言って、健康診断をする意味がない、という訳ではもちろんありません。健康診断は万能ではありませんが、それでも色々な病気を早期に発見出来ることには変わりないのです。

 

▽健康診断はどれくらいの頻度で受けたらよいか

一概には「どれくらい」とは言えませんが、最低でも年に1回程度は、血液検査を含めた健康診断を受けるのがよいでしょう。犬の場合には、春にフィラリアの検査のために採血をする際、一緒に血液検査を受けるという方が多いようです。犬や猫の1年を人間の歳で換算すると、約4年~5年に相当します。ですから、年に1回の検査でも、人に当てはめれば4-5年に1回しか検査を受けていない、という見方もできます。若くて健康なうちは構わないでしょうが、8歳を越えたら年に2回程度は健康診断を受けるべきではないでしょうか?

 

:当院での検診内容についてはこちらをご覧ください。