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ボルタレンでインフルエンザ脳症悪化

2004.08.07(土)

2000年4月16日 読売朝刊
http://www.npojip.org/druginfo/yomiuri16apr2000.htm

 

以下、読売新聞からの引用

◆「疑わしき」状態 安易な処方危険
インフルエンザにかかった子供が、急に意識障害に陥り、死亡や重い後遺症に至る脳症が、多発しているのは日本だけだ。
厚生省研究班は、脳症患者を調べた結果、解熱剤のジクロフェナクナトリウム、メフェナム酸を使った場合、死亡の恐れがそれぞれ三・一倍、四・六倍高まった、と報告した。これら二剤は非ステロイド系抗炎症剤と呼ばれ、作用が強い。
(以下省略)

 

《コメント》

ボルタレン(ジクロフェナクナトリウム)という解熱剤による事故は幾つか報告されている。消炎剤、解熱剤としては強力で比較的有用なのだが、そもそも風邪やインフルエンザのようなウイルス感染症で、解熱剤を使用すべきかどうかは甚だ疑問である。上に引用した読売新聞の記事にも、

「そもそも解熱剤では、風邪やインフルエンザを治せないばかりか、発熱は、体がウイルスと闘うための正常な反応で、解熱剤を使うと体の防衛力を弱め、発熱期間が長引くという報告もある。米国では、40・5度以上の高熱には解熱剤を使うとされるが、推奨される薬は、比較的作用の弱いアセトアミノフェンなどで、強力で副作用の強い抗炎症剤は使わない。」

とある。解熱剤の使用については、以下のサイトの記述が非常に示唆的であるので紹介する。
よしだ小児科クリニック「医薬分業のすすめ」< http://www2.nsknet.or.jp/~s-yoshi/netu.htm>

無駄な解熱剤の使用は危険なことは解っているが、患者(またはその母親)が欲しがるから処方する、薬を処方しないと患者が減る、という「事情」が背景にはあるらしい。これは抗生物質でも同様の状況。日本の動物病院では、「元気が無い」という主訴で動物を病院に連れて行くと、ビタミン剤と抗生物質を注射してくれるところが結構あるらしい。抗生物質で「元気が出る」というのは聞いたことが無い。しかし、注射をこよなく有難がる傾向が、日本人にはあるというのは否めない事実だろう。