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当院では「傷の消毒」は一切行いません

2017.11.02(木)

「創傷治療」の「傷を消毒してはいけない」にも書いた通り、「傷を消毒する」ことは医学的に無意味であるだけではなく、傷の治癒を遅らせ、患者に苦痛を与え、時としてアレルギーなどのショックを引き起こしたり、白血球やマクロファージなどの免疫細胞を死滅させることで却って感染を助長させる可能性もあるということが判っています。つまり「傷を消毒する」ということは、「治療」の名を借りた一種の傷害行為であると言うのが最近の考え方です。

 

 

しかしながら、人間の病院を含めて多くの病院ではいまだに「傷の消毒」が日常的に行われています。最新の医学的知見では「間違いである」ことが判明しているにも関わらず、何故いまだにこのような行為が行われているのでしょうか?

 

「過去100年以上続けられてきた常識的治療」を、いまさら覆すというのはなかなか難しいことなのかもしれません。実際には、多くの傷;特にかすり傷などの小さな傷は、たとえ消毒してもすぐに治ってしまいます。これは「消毒をして傷が治るのを邪魔したのにも関わらず、強い治癒力で傷が自ら修復した」と考えるのが正しいのですが、一般的には「きちんと消毒したから治った」と捉えられてしまいます。放っておいても勝手に治ってしまうような傷の場合は、少々消毒したくらいでは然程悪影響を受けずに治癒する能力を持っているのです(だからと言って消毒しても良い、という訳ではありませんが…)。

 

しかし中には、非常に治癒が悪く、なかなか治らない傷というのも存在します。治らない原因はそれぞれの傷により様々ですが、このような「治り難い」デリケートな傷を治療する場合には、絶対に消毒してはいけません。ただでさえ傷の治癒を邪魔する因子が幾つもあるのですから、さらに消毒で追い討ちをかけるようなことをすれば、傷は治らないばかりか却って大きく広がって余計に悪化してしまう場合もあります。

 

したがって、当院では「傷を消毒する」行為は一切行っておりません

 

また、「傷の治療」に関する相談や「治らない傷」の紹介なども、随時受け付けております。お電話かメールでお問い合わせください。