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「かぜは薬で治さない」学会が指針

2004.08.07(土)

YOMIURI-ON LINE「医療と介護」
(2003年11月12日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/life/li3b1201.htm

 

《コメント》

「風邪は風邪薬では治らない」、実はこれは至極当たり前のことなのですが、一般的には殆ど知られていません。今回「日本呼吸器学会」により、いわゆる「風邪」の定義とその治療法のガイドラインが示されたことは、非常に興味深いことです。やはり、むやみやたらに「風邪薬」を服用するのは、これからはやめた方がよいということでしょう。危険なのはなにも、「中国製ダイエット食品」だけではない、ということでしょう。

以下は「風邪の常識 13か条」とでも言うところでしょうか、記事からの引用です。

 

1〉自然に治るもので、かぜ薬で治るのではない。

2〉普通は3-7日で治るが、14日程度かかる場合も。

3〉ほとんどがウイルス感染。ただし、インフルエンザを除いて、有効な抗ウイルス薬は存在しない。

4〉抗菌薬(抗生物質)はかぜに直接効くものではない。

5〉抗菌薬を乱用すると、下痢やアレルギーの副作用や薬が効かない耐性菌を生み出す危険がある。

6〉かぜ薬は、症状の緩和が目的の対症療法にすぎない。

7〉多くのかぜ薬、特に総合感冒薬は、連用すると発疹(ほっしん)や発熱、胃腸障害など副作用の危険がある。

8〉発熱は体がウイルスと戦っている免疫反応で、ウイルスが増殖しにくい環境を作っている。

9〉解熱・鎮痛薬は、症状が激しい場合にのみ頓服として使う。アセトアミノフェンなど作用が穏やかな薬が推奨される。

10〉十分な食事が取れない時や消化性潰瘍(かいよう)がある人、アスピリン喘息(ぜんそく)、腎不全の人はアスピリン、イブプロフェン、ナプロキセンなどの解熱・鎮痛薬は飲んではいけない。

11〉症状の持続(4日以上)や悪化が見られる時は医師の診断が必要。

12〉予防にはうがい、手洗いが有効。うがいには殺菌効果があるポビドンヨード(イソジン)が望ましい。

13〉発症時、特に発熱時に最もウイルスをうつしやすい。

(「成人気道感染症診療の基本的考え方」より)

 

風邪はウイルス病なので、抗生物質はもちろん効きません。くれぐれも無駄な抗生物質は飲まないようにしたいですね。また、インフルエンザは「飛沫感染」しますが、風邪は基本的に「接触感染」です。従って予防は「手洗い」が一番重要となります。そして、そこら辺を触った指で鼻の穴や口の中に指を入れないこと(これは実は結構難しい)。指先の皮膚に付着したウイルス粒子が粘膜から感染することになるからです。
「うがい」の効果は実は疑わしいと思っているのですが・・・。まぁするとなんとなく気持ちがいいので、して悪いことはないでしょう。ただし、うがいにポピドンヨードを使用する必要があるとは思えません。ちょっと揚げ足を取ると、「風邪はウイルスが原因」と言っておきながら、「うがいには殺菌効果のあるイソジン」って、何か言うことが矛盾しているとは思いませんか?うがいで洗浄できる範囲って、気道の中の極めて狭い範囲でしかないし、もし「洗うこと」で風邪のウイルス感染を防ぐことができるなら、鼻腔内も気管も気管支も肺胞も、全部洗う必要があるのではないでしょうか?でも実際にそんなことはできませんね。
しかし、それはそれとして、大部分は、うなずける内容となっています。つまり、基本的に体を休めて放っておけば、風邪は数日で自然に治るのです。しかし日本ではこの「仕事を休む」というのが一番難しい・・・・。