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術前の注意について

2017.11.02(木)

▽術前検査の必要性

手術をするためには、全身麻酔をかけなければなりません。全身麻酔の安全性は、獣医麻酔学の発達と共に年々向上しています。しかし、腎臓や肝臓、あるいは心臓などに問題があると、全身麻酔により様々な障害が発生する危険性が高くなります。
手術の前に血液検査をはじめとする幾つかの検査を受けることにより、隠れた異常を見つけることが可能な場合があります。つまり、術前検査を行うことで全身麻酔のリスクをある程度予測することが出来るのです。通常、術前(麻酔前)に必要となる検査には「身体検査」と「血液検査」がありますが、動物の状態や年齢、実施する手術・処置の内容、基礎疾患の有無などにより、検査の内容は異なりますので、獣医師よりその都度ご提案をさせて頂きます。

 

術前の身体検査で何らかの異常が見られた場合や、血液検査で異常な項目が判明した場合には、結果に応じて追加の検査が必要になることもあります。例えば、聴診で心臓に雑音が聴取された場合には、心臓の検査(レントゲン・エコー)が必要になります。また血液検査の結果、「肝臓の数値」に異常が見られた場合には、肝臓の超音波検査や肝機能検査、血液凝固系の検査などが必要になる場合があります。

 

猫の場合にはFIV(猫エイズ)やFeLV(猫白血病ウイルス)、FIP(猫伝染性腹膜炎)などのウイルス感染が、麻酔のリスク上昇に関連しているという意見もあります。これらのウイルスは発症せずに「潜伏感染」していることが多く、麻酔をかけて手術をすることで発症する可能性もあります。これらのウイルス検査は、通常の術前検査には含まれていませんが、リスクが高いと思われる場合や特にご要望がある場合には実施することが出来ますので、お申し出ください。

 

いずれの検査も、麻酔や手術を安全に行うために必要な検査です。但し、これらの検査を行うことで「隠れている全ての異常を検出」出来るという訳ではありません。残念ながら一般的な検査では見つけることが困難な異常/病気もあります。また麻酔をかける全ての動物に対して超音波やレントゲンその他諸々の(必要性があまり高くないと思われる)検査を毎回実施するのはあまり現実的ではありません。もちろん、全ての異常を見つけることが出来ないからと言って「術前検査が無駄」という訳ではありません。術前検査の目的は「麻酔がかけられるかどうか?」という単純な線引きをすることではなく、麻酔をかけるにあたって重大なリスクとなる大きな異常/疾患が無いか、あるとすればその程度はどのくらいか、麻酔を掛ける前に治療や対処が必要か、どのような点に注意して麻酔をかけるべきか、などの情報を得ることで、可能な限り麻酔〜手術のリスクを減らすことにあるのです。

 

▽手術前日・および当日の注意

麻酔をかけると全身の反射機能が低下します。もし、胃に食べ物が入ったままの状態で麻酔をかけると、麻酔中〜覚め際に嘔吐することがあり、吐いたものが気管に詰まって、窒息や術後の肺炎・食道炎の原因になることがあります。したがって、手術当日の朝食は必ず抜いてください。ただし、お水は特に制限する必要はありません。前日の夕食は通常通りに与えてかまいません。但し夜の8時〜9時くらいまでに食べ終わるようにして、それ以降は翌朝まで水以外のものは与えないで下さい。

当日は、避妊・去勢手術であれば10時半までに病院にお越し下さい。それ以外の手術に関しては、個々の状態に応じてこちらで来院時間を指示させていただきます。

 

消化管の手術を行う場合や、消化器系の症状が見られる場合には、術前の食餌などに関して個別に注意事項を説明しますので、獣医師の指示を良く守ってください。