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2004.08.07(土)

毎日新聞 2004年7月16日 3時00分
http://www.mainichi-msn.co.jp/kagaku/medical/news/20040716k0000m040152000c.html

 

《以下引用》

 健康食品として人気を呼んでいる「にがり」について、独立行政法人国立健康・栄養研究所(東京都新宿区)は、「にがりのダイエット効果に根拠はない」とする注意をホームページで流し始めた。にがりを多量に摂取すると下痢を起こすので体重は減るかもしれないが、一時的な水分の減少に過ぎないという。 また、にがりの過剰摂取で心肺停止を起こし救命救急センターに搬送されるケースもあった。にがりは海水を濃縮して塩を除いた残留物で、塩化マグネシウムが主成分。豆腐を作る凝固剤として使われている。 同研究所によると、塩化マグネシウムに「糖の吸収を遅らせる」「脂肪の吸収をブロックする」などのダイエット効果があるという情報が目立っている。しかし、確実な根拠はないという。 同研究所の梅垣敬三健康影響評価研究室長は「減量効果がないからといって量を増やして飲むと危険だ。利用目的や摂取量には十分注意してほしい」と訴えている。 また、東京都立墨東病院救命救急センター(墨田区)には、昨年暮れ以降、急性マグネシウム中毒による心肺停止などの患者が2人、搬送された。70代男性は便秘改善の目的で家族から少量のにがり摂取を勧められたが、ペットボトル容器に入っていたため約100ミリリットルを誤って飲んだという。40代女性もペットボトルの半分近くを一気に飲み、心停止寸前で搬送された。いずれも人工透析などで一命をとりとめた。浜辺祐一救命救急センター部長は「ごく少量を飲むにがりを、ペットボトルのような容器に入れることは適切ではない」と話している。
(平成16年7月16日 毎日新聞)

 

《コメント》

にがりを適量飲んでも死ぬことは無いが、過剰に摂取すると心肺停止を起こす危険性があるという記事です。「過剰摂取」とは言え、ペットボトルに入った「にがり」を誤って一気に100ml程度飲んだだけで、マグネシウム中毒で「心肺停止」というのはかなり怖いですね。十分に「毒物」と言えるでしょう。しかし、本来「数滴」服用すべきものを、100mlも一気に飲んでしまったのか、そこが不思議な点でした。そしてつい先日、近所のドラッグストアの「健康食品」の棚に並んでいる「にがり」を見て、「あぁ、これは飲んでしまうかもしれない」と思ったのでした。まるで「お茶」や「ミネラルウォーター」と見分けが付かないような、普通のペットボトルに入っているのです(初めて知りました)。今(少し前?)はやりの「海底深層水」だと言われれば、そう思ってしまうようなパッケージ。あれは間違えて風呂上りにでも一気飲みしてしまう人がいたとしても、不思議ではないな、と思ったのでした。

ところで、マスコミなどでは散々「健康に良い」とか「痩せる」とか、はたまた「花粉症が治る」などという”怪しい”情報で持て囃されていた「にがり」ですが、実のところどうなんでしょうか?

毎度お世話になっている「国立健康・栄養研究所」では、「にがり」に対してこんな注意を喚起しています。予想通りというか、「痩せる」という効果には何の科学的根拠もデータもない、ということでした。もしあるとすれば、下痢による脱水で体重が一時的に減少するだけのようです。これは「サウナで痩せる」というのと同じ発想です。「サウナ」も、脱水による体重減少が主な効果ではないかと思います。

2004.08.07(土)

[時事通信社]2004/7/29
http://news.fs.biglobe.ne.jp/social/jj040729-X686.html

リンクが削除されているので、記事を以下に引用します。

 

 『国内未承認の医薬品成分「シブトラミン」を含む中国製ダイエット用健康食品「V・L21(ヴィーナスライン21)」を摂取していた岩手県内の女性(30)が今月4日に死亡していたことが29日、分かった。同県などが発表した。このダイエット食品と女性死亡の詳しい因果関係は不明だが、宮城・岩手両県は薬事法に基づき、同食品を輸入販売していた仙台市の業者などに販売中止と回収を指示した。
 岩手県環境保健研究センターが検査した結果、V・L21からは1カプセル当たり0.14~0.86ミリグラムのシブトラミンが検出された。シブトラミンは海外では肥満症治療の医薬品として承認されているが、国内では未承認で、血圧上昇や心拍数増加などの副作用があるという。』 

 

《コメント》

中国産の健康食品やサプリメント、輸入漢方薬ではこのような事故が絶えません。国立健康・栄養研究所でも、このように注意を呼びかけています。⇒「中国製ダイエット食品からまたも医薬品成分を検出
健康食品や輸入漢方薬などが全部危険だ、と言うわけではありません。中には確かな製品もあるでしょうし、それなりに有効性が証明されているものもあることでしょう。しかし、それらのものを見分けることは一般の人にとっては非常に困難です。「健康食品」は法的には「食品」とされているため、医薬品のような規制がありません。また、漢方薬は日本では「医薬品」とされていますが、海外では多くの場合「サプリメント」扱いで、普通のドラッグストアに売っています。従って、誰でも比較的簡単に輸入することができてしまうのです。このような輸入品の中には、今回のように、医薬品成分を含んだような「悪質」な製品も含まれています。「痩せたい」「健康になりたい」という一般の人たちの気持ちに付け込んだ、今回のような違法行為は、許されるべきではありません。

2004.08.07(土)

神戸新聞(2004/4/11)
http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sougou04/0411ke24050.html

 

《コメント》

 (以下引用)
「神戸市内の六十代男性が、書籍などで「がんが消える」とうたわれ、人気を集める健康食品アガリクスを飲み始めてから三週間後に劇症肝炎を発症、その後死亡していたことが十日、分かった。病院側は「アガリクスが原因と疑われる」と指摘しているが、報告を受けた厚生労働省は「因果関係がはっきりしない」などと情報の公表を見送った。 」 (以下省略)

 

というのが記事の内容。結局この患者が「複数の健康食品を服用していた」ということと、使用したアレルギー検査の特異性が低いことを理由に、「因果関係がはっきりしない」ということになり、公表を見送ったらしい。「疑わしきは罰せず」という、医薬品なら考えられない寛大な措置ではある。輸入ダイエット用サプリなどでは頻繁に、死亡事故を含む重篤な副作用が発生しており、「健康食品」だから、「サプリメント」だから、と言って、盲目的に「安全である」と信じることは、ときとして危険である。「薬効を期待する」ということは、「生体に対して何らかの薬理作用を及ぼす」ということであるから、「効果がある」と「副作用がある」ということは表裏一体で、それは「健康食品」だろうが「医薬品」だろうが、基本的には同じことである。ただ、「医薬品」の方は「医薬品」としての認可を取るために有効性と副作用のデータが必要であるのに対して、「健康食品」は法的には「食品」とみなされる為、有効性のデータも副作用の報告義務も無い、ということから、見かけ上「健康食品」には副作用がない、というように見えてしまうのだろう。

ところで、「アガリクス」には「薬効」があるのか、という疑問が当然沸いてくるのではないだろうか?ちなみに、厚生労働省の関連機関である「独立行政法人 国立健康・栄養研究所」では、各種「健康食品」に関する情報を公開してるが、アガリクスに関する情報はここで見ることができる(開いたページの「同意する」をクリックすると情報を見ることができる)。ここで判るように、アガリクスには「有効性」も「安全性」も、今のところ信頼できるデータはひとつもない、ということのようである。かろうじてマウスによる基礎実験の報告があるが、マウスとヒトでの効果を同じに論ずることは危険である。

結局今回の記事にある「劇症肝炎」がアガリクスによるものかどうかは不明である。ヒトに対して殆ど「薬効」がないということなら、副作用もそれ程重篤なものは無いようにも思えるが、はっきりしたことは判らない。アレルギーはどんな食物でも起こり得るから、そういった意味での危険性は十分に考えられる。しかし、「有効性」のはっきりしないものを、わざわざアレルギーのリスクを冒して服用する意味とは、一体何なのだろうか?

犬や猫では今のところこのような副作用の報告はないが、「安全」と「リスク」に関して、これからもう少し真剣に考えてゆく必要があるだろう。

2004.08.07(土)

YOMIURI-ON LINE「医療と介護」
(2003年11月12日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/life/li3b1201.htm

 

《コメント》

「風邪は風邪薬では治らない」、実はこれは至極当たり前のことなのですが、一般的には殆ど知られていません。今回「日本呼吸器学会」により、いわゆる「風邪」の定義とその治療法のガイドラインが示されたことは、非常に興味深いことです。やはり、むやみやたらに「風邪薬」を服用するのは、これからはやめた方がよいということでしょう。危険なのはなにも、「中国製ダイエット食品」だけではない、ということでしょう。

以下は「風邪の常識 13か条」とでも言うところでしょうか、記事からの引用です。

 

1〉自然に治るもので、かぜ薬で治るのではない。

2〉普通は3-7日で治るが、14日程度かかる場合も。

3〉ほとんどがウイルス感染。ただし、インフルエンザを除いて、有効な抗ウイルス薬は存在しない。

4〉抗菌薬(抗生物質)はかぜに直接効くものではない。

5〉抗菌薬を乱用すると、下痢やアレルギーの副作用や薬が効かない耐性菌を生み出す危険がある。

6〉かぜ薬は、症状の緩和が目的の対症療法にすぎない。

7〉多くのかぜ薬、特に総合感冒薬は、連用すると発疹(ほっしん)や発熱、胃腸障害など副作用の危険がある。

8〉発熱は体がウイルスと戦っている免疫反応で、ウイルスが増殖しにくい環境を作っている。

9〉解熱・鎮痛薬は、症状が激しい場合にのみ頓服として使う。アセトアミノフェンなど作用が穏やかな薬が推奨される。

10〉十分な食事が取れない時や消化性潰瘍(かいよう)がある人、アスピリン喘息(ぜんそく)、腎不全の人はアスピリン、イブプロフェン、ナプロキセンなどの解熱・鎮痛薬は飲んではいけない。

11〉症状の持続(4日以上)や悪化が見られる時は医師の診断が必要。

12〉予防にはうがい、手洗いが有効。うがいには殺菌効果があるポビドンヨード(イソジン)が望ましい。

13〉発症時、特に発熱時に最もウイルスをうつしやすい。

(「成人気道感染症診療の基本的考え方」より)

 

風邪はウイルス病なので、抗生物質はもちろん効きません。くれぐれも無駄な抗生物質は飲まないようにしたいですね。また、インフルエンザは「飛沫感染」しますが、風邪は基本的に「接触感染」です。従って予防は「手洗い」が一番重要となります。そして、そこら辺を触った指で鼻の穴や口の中に指を入れないこと(これは実は結構難しい)。指先の皮膚に付着したウイルス粒子が粘膜から感染することになるからです。
「うがい」の効果は実は疑わしいと思っているのですが・・・。まぁするとなんとなく気持ちがいいので、して悪いことはないでしょう。ただし、うがいにポピドンヨードを使用する必要があるとは思えません。ちょっと揚げ足を取ると、「風邪はウイルスが原因」と言っておきながら、「うがいには殺菌効果のあるイソジン」って、何か言うことが矛盾しているとは思いませんか?うがいで洗浄できる範囲って、気道の中の極めて狭い範囲でしかないし、もし「洗うこと」で風邪のウイルス感染を防ぐことができるなら、鼻腔内も気管も気管支も肺胞も、全部洗う必要があるのではないでしょうか?でも実際にそんなことはできませんね。
しかし、それはそれとして、大部分は、うなずける内容となっています。つまり、基本的に体を休めて放っておけば、風邪は数日で自然に治るのです。しかし日本ではこの「仕事を休む」というのが一番難しい・・・・。

2004.08.07(土)

http://www.asahi.com/national/update/0729/025.html
↑アサヒ・コムからの引用です。リンクが切れてしまっているので、全文を引用します。悪しからず。

 

市販のかぜ薬を含む様々な薬の副作用で、皮膚がただれて失明したり死亡したりすることもあるスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS、皮膚粘膜眼症候群)が、01年4月から03年10月末までの2年7カ月の間に1064例報告されたことが29日、厚生労働省のまとめでわかった。
 SJSは1922年に米国で発見された疾患で、抗生物質や痛風、てんかん治療薬など様々な薬の副作用で、100万人当たり年間1~6人発症するとされている。
 報告のうち、かぜ薬などの市販薬が58例含まれていた。また、今回報告された事例に関係があるとみられる成分は283成分だった。702例は症状が軽くなったが、106例が薬とのかかわりによって死亡、ほかに後遺症や未回復の例もある。
 同省は、過去の2回のまとめに比べて発生の傾向に大きな違いはないとしたうえで、「赤い発疹が広がる症状が出たら、服用をやめ、皮膚科に受診してほしい。医師も経験することが少なく、症状が出たら投与をすぐにやめるなどの対応が重要だ」と強調している。
(07/29 19:21)

 

《コメント》

どんな薬でも「副作用の無い」薬は無い。これは「漢方薬」だろうが「健康食品」だろうが、同じことである。だからと言って、薬を毛嫌いして何でも「自力で治す」と言う考え方が良い、ということではないだろう。「自然治癒力」というフレーズは、ときとして「まやかし」である。ただ、「風邪は風邪薬では治らない」というのは、医学的知識のある人達にとっては半ば常識である。つい昨年も呼吸器学会がまとめた所謂「風邪」に関するガイドラインの中でも、「風邪薬は殆どの風邪には効かないので、安易に飲むべきではない」ということをはっきりと言っている。殆どの風邪が、ウイルスが原因で起こるのだから、抗生物質など効くわけが無いのは自明であるが、実際にはいまだに多くの医療機関で、安易に無駄な抗生物質が処方され続けているのだろう(もちろん動物病院でも!)

「てんかんの薬」や「通風の薬」など、有効性が期待できるのならそれに見合うリスクを背負うことも仕方が無いだろうが、風邪薬に対する抗生物質や解熱剤など、無駄なことが明らかでなおかつリスクだけが存在する場合、これらの薬を服用するのは単に危険なだけの行為である。

不要な薬物は、できるだけ口にしないのが懸命だということだろう。しかし、どれが『必要』で何が『不要』なのかを見極めることが、実際には難しいのかもしれない。

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